FOCUS
ガザレポート パレスチナ支部
 毎年度末、各海外支部から一年の活動を伝えるレポートが届けられる。今回パレスチナ支部のレポートに添えられていた写真には子どもたちの屈託のない笑顔があった。半世紀以上にわたる不条理な状況のなか、ガザチームはカイロに在住する支部責任者のアマル・アブゥ・エマラ女史の関わりのもとに、生命の価値を子どもたちに伝えるべく活動を継続している。その子どもたちの笑顔の背景にどんな努力がなされているのか、スタッフの近況をエマラ女史に報告してもらった。

 ご存知のように、ガザの状況が普通ではないので、スタッフとのやり取りが大変難しい現状があります。そのような状況下でカイロにいる私たちが計画した活動を伝え、彼らは現地の状況を考慮しつつ、できることを進めていきます。現在「ライフ イズ ビューティフル」のプログラムは途切れることなく継続できています。子どもたちも親たちも学校の授業に取り入れてほしいと言っています。
 また親たちは、子どもたちを危険な国境近くにパレスチナ難民の「帰還権」を主張しに行かせないようにすることが、実に難しいと感じています。徐々にわかってきたのは、多くの子どもたちは親の知らぬ間に、許可なく出かけて行っていることです。その状況から、私たちがやるべきことは、子どもたちに、人としての権利を取り戻すことは大切であるけれども、命を危険にさらすようなことはしてはいけない、とはっきり教えることだと思っています。
 ガザでの計画の一つに、学年末に国境から遠く離れた場所にある、例えば海岸や公園への遠足があります。実はガザチームが拠点としているジャバリアのセンターは国境からとても近く、1キロ位しか離れていないのです。
 子どもたちの好奇心を満足させ、自分たちも抗議行動をしている同胞を支えているんだと感じられるよう、スタッフは彼らを抗議行動が見える、危険が及ばない場所に連れて行き、人々に水を配らせています。そうすることで、国境に近づくことがどれほど危ないかを実感することができます。私たちは子どもたちが自分の生命の価値を知り、それを守るという選択をするように教えています。子どもたちだけで抗議行動を見に行くよりはいいと思っています。
 またガザチームの中心的スタッフのサマヘールがスイス在住の婚約者と結婚するためにガザを出ます。彼がスイスへの入国ビザの手続きをしましたが、パスポートがヨルダン川西岸地区のラマラから手元に届く前にそのビザは有効期限が切れてしまいました。そのため、これからジャバリアを離れ、家族とも離れるという不安もあり、サマヘールは精神的重圧を感じて体調を崩してしまいました。そうした中でも、支部活動での自分の役割を妹のハニーンに引き継いでいくこともしていました。私もハニーンが彼女の新しい役割を掴んでいけるように助けていきますし、メイスーン、イマーン、モイーン、そしてファイカも、今後にハニーンを支えていくでしょう。サマヘールはパスポートと新たな入国ビザを手に、カイロに向かっています。
 最後に現在夏のプログラムとは別にガザで進めているのは、主に社会、経済的な支援となるラマダンのプログラムです。
 
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