FOCUS
生涯教育講演会
まなびピアいばらき2006
生涯教育
家庭の価値と役割
―多発する青少年問題の背景をさぐる―
 「まなびこそ 輝く あなたの 第一歩」を全体テーマに掲げた、第18回全国生涯学習フェスティバル「まなびピアいばらき2006」が、6市町及び5地域の生涯学習センターを中心に、10月5日から9日までの5日間にわたり開催された。
 平成元年の第1回以来、当センターは協賛団体として毎年講演会を開催してきた。この度も10月6日(金)、茨城県近代美術館を会場に、「生涯教育 家庭の価値と役割―多発する青少年問題の背景をさぐる―」をテーマに講演会を開催した。
 茨城連絡所、千葉支部、栃木連絡所のメンバーで構成された実行委員会を中心に、全国各支部、連絡所のメンバーが各地域で参加を呼びかけ、当日は台風並みの悪天候にもかかわらず、教育行政、学校、PTA、市議会、企業等より217名が会場を埋めた。
 最初に「野村生涯教育センターのあゆみ」のビデオを上映し、続いて東京支部の難波和子さんが教育実践報告を行った。
 難波さんは「私は家族4人の幸せな毎日を送り、報道されるような青少年の問題は自分には関係ないと思っていた。
 ところが、転校をきっかけに長男が不良グループに入り、その変貌ぶりはわが子とは信じられないほどだった。地獄のような日々を過ごす中、近所の方が声をかけてくださり、野村生涯教育の学習を始めた。
 家庭は公人を育てる場≠ニ学んだとき、私は自分の価値観、良い成績、良い学校、良い就職、それでわが子は幸せになれると信じて育ててきた、その誤りが見えてきた。
 また、借財に苦しむ両親に送金を続ける夫を否定的に見て、不満を抱いてきた私の意識は、命の繋がりを無視することであり、それが長男の生きる意欲を萎えさせていたことがわかってきて、深い反省となった。
 長男もセンターの青年部活動に参加するようになり、理事や仲間の関わりによって人への信頼感を取り戻し、復活していった。
 子どもを生み育てる家庭がいかに大切か、そして私たち大人一人ひとりの人間性復活によって、どんなに荒れる子どもでも必ず立ち直れる、と確信した」と発表した。
 次に、兵庫支部責任者の田村美容子さんが講演を行った。田村さんは「連日、青少年や大人社会の事件が報道され、いつ誰が被害者になり加害者になるかわからない危機的時代を迎えている。こうした病理現象の根源的原因を正しく把握して取り組まない限り、明るい未来を生み出すことはできない」と述べ、その上で、「野村生涯教育では『社会の実態は教育のバロメーター』と学ぶが、教育が人間を作り、人間が社会、時代を作る。経済価値優先の中で倫理も道徳も置き忘れ、そこにさまざまな歪みをもたらしているが、人間の価値を基盤とした教育への転換こそが、今、私たちに問われているのではないか。
 そこに創設者野村佳子理事長が東洋の自然観を基盤に『野村生涯教育論』を構築した所以がある」と語り、その中身を説いた。そして「人間の存在そのものの価値、生命の尊さの認識に立ったとき、新しい価値としての家庭が蘇る」と述べ、家庭教育の重要性を力強く訴えた。
 最後に母親たちとの具体的取り組みについてふれ、「多くの母親たちが愛情に飢え、周囲に真剣に話を聞いてくれる人もなく、生きる道筋を見失っている。それはまさに若い頃の私の姿であり、次世代にこの学びの価値を渡すためにも、自分自身の人間性復活をより真剣に求めていきたい」と述べた。
 午後は3分科会に分かれて活発な討議が行われ、盛会のうちに講演会は終了した。
 
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